同人ギャルゲー

同人ゲーム(どうじんゲーム)は、同人(同好の士の集まり)により確立された、もしくはそれに由来する作品発表・流通形式のコンピュータゲーム(通販・即売・ショップ委託・オンライン/デジ同人等)のことです。
ゲーム業界がアマチュア制作ソフトの流通・発表を積極的に支えたため、漫画界のように「同人サークルが集まり流通ルートを切り開く」とは異なります。

 

 

1992年には、ソフト自販機『ソフトベンダーTAKERU』での同人ソフト取り扱いが始まり、市販化とは違う商業ルート上の同人ソフト流通の先駆けでした。
アダルトゲーム業界において、「Leaf」がビジュアルノベルシリーズ3部作『雫』(1996年)、『痕』(1996年)、『To Heart』(1997年)と立て続けに発表されると、システムとシナリオの良さから好評を博します。サウンドノベルの登場人物は、顔などが描かれない輪郭のみのビジュアルだったので、プロでなくても勝負できることを示したのでした。
一方で、ビジュアルノベルシリーズは漫画的なデフォルメされたビジュアルを表現に用いたため、消費者の同人活動が盛んになり、コミックマーケットで多くの二次創作が発表されることに。特に人気を2分していた「Leaf」と「Key」の作品はブランド名の和訳から葉鍵系と呼ばれ、同人サークル「渡辺製作所」の格闘ゲーム『THE QUEEN OF HEART』シリーズ(1998年-)や「はちみつくまさん」のRPG『Kanon RPG』をはじめとしたKey系RPGシリーズにより、二次創作としての同人ゲームが多く制作されたのでした。これらコミックマーケットで販売される同人ゲームはフリーソフトとは異なり、消費者から購入してもらうもので、この頃から同人ゲームの同人ショップへの委託販売が活発になるのでした。

同人ゲームが大ヒット

同人サークル「TYPE-MOON」が2000年コミックマーケット夏に体験版『月姫(半月版)』、同年コミックマーケット冬に完全版『月姫』を頒布されると、たちまち話題になりました。
商業ゲーム並のクオリティーの同人ゲームは過去にも少なからずあったのですが、CD-ROMによる大容量化でメーカーが莫大な作業量と開発費を投入するようになった時代以降に、質的にも販売本数でも商業作品に遜色無いという点で、『月姫』は歴史的な作品だったのです。
その後、『月姫』はアニメ化・漫画化もされ、商業の場において異例のメディアミックス展開を見せることに。
2002年コミックマーケット冬、「渡辺製作所」と共同開発する形で『月姫』の公式同人対戦型格闘ゲーム『MELTY BLOOD』が頒布されると、『MELTY BLOOD』はアーケードゲーム化・コンシューマゲーム化・漫画化など、こちらも同人の枠を越えるヒットとなりました。
「TYPE-MOON」は同人ゲーム第2段『Fate/stay night』の制作を発表したが、制作規模が大きくなり過ぎたために法人化(有限会社ノーツを設立)して商業作品第1段『Fate/stay night』として発売。
いまだ新規ファンを獲得し続けている『Fate/stay night』は、大ヒット!もとは18禁でしたが、今やコンシューマ機やスマホやアニメをメインにしています。

 

 

「07th Expansion」は2002年『ひぐらしのなく頃に』シリーズを発表し始め、当初は同人ショップ委託をしなかったために話題にならなかったのですが、2004年5月に体験版として第1話『ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編』を丸ごとダウンロードできるようになると、独特の切り口と見せ方による面白さが口コミとインターネットにより話題になりました。アニメ化・漫画化・コンシューマゲーム化・ドラマCD化・書籍化・実写映画化され、同人の枠を飛び出たヒットに繋がるのでした。

性的な描写を含むアダルト作品が多い同人ゲーム界において、性的描写を一切廃した一般向けとして扱ってヒットした異色の作品でした。なお、性的描写は無いものの殺傷描写が多く含まれています。

一方、「上海アリス幻樂団」が弾幕系シューティングゲーム『東方Project』と呼ばれる一連のシリーズ作品を1996年から継続してリリースし続けていると、商業作品に劣らない本数を売り上げるシューティングゲームとして人気を得ます。
これ以降、シューティングゲーム格闘ゲームの良作がPCでも遊べると世に示したといえるでしょう。
同人発ながら熱狂的な支持を得た『ひぐらしのなく頃に』など、いわゆるギャルゲーやノベルゲームといったジャンルの作品たちは、ゲームのみに留まらず、昨今の日本のエンターテイメント業界に多大な影響を与えてきたのでした。

開発・流通

全ての作業を単独でこなす人もいますが、大抵は4〜5人で同人サークルを結成して、キャラクターデザイン・シナリオ・原画・プログラム・音楽などと分業して開発していくのが一般的です。
かつては、一からプログラムを組まなければならなかったために、同人ゲームの開発で一番重要なのはプログラムテクニックであり、それに加えてゲームデザインやグラフィック、音楽といった表現内容全てを一人でこなせる高い能力が要求されていましたが、ゲームエンジンなどの開発ツールの充実・ハードウェア・ソフトウェアの高性能・低価格化により敷居が下がってきました。
中には、サークルが法人を設立して企業に移行するほど売れるケースもあるのですが、逆に一部商業のゲームメーカーは短期の資金繰りのために同人誌即売会などの場で商業ゲームを販売することや、制約の多い大手ゲームメーカーからスピンアウトしたクリエイターが同人ゲームに移行するケースも。
もともとは、個人で作った作品を友人が遊んだり、コンクールなど定期・不定期なイベントへの投稿が主であったのですが、近年では発表の場が増えてきたことにより多様化してきて、頒布方式はネットでのダウンロードかCD-Rなどに焼いて同人即売会で販売するのが一般的となっています。人気があるゲームはプレスCD化や同人ショップでの委託販売も行われています。
また、ダウンロード販売サイトで購入することも可能。

鬱ゲー(うつゲー)